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Symbiosis  004 
そこにある流れ」 


自然がもたらす大きな力と、人々の生活の行動が交わることで「見えない流れ」のようなものが創り出されている。
あるメディアの情報によって、この土地から汚染した水が流されていたことを知った。その情報は今まで見てきた美しい
景色を一変させ、今まで見えていなかった景色や人々の感情の声が初めて聞こえてきた気がした。
それは人間がもたらしたものなのか、それとも自然がもたらしたものなのか。結果として、汚染した水が大きな影響を与えているかもしれないが、その原因を追究しているわけでも、それを批判しているわけではない。
そこに人間の作為があったとしても私は人間も自然の一部として考えている。
想定を超えた自然の力が人間の行動を狂わしたかもしれない。その力を制御するなかで無意識に「流れ」を創っているように感じている。
この流れのなかにいると、我々人間は本当に自然を破壊しているのか、それとも我々が破壊されているのか、よくわからなくなる。
そして、この流れは世界のいたるところにあると思っている。この写真はたまたま全容が見えただけで本来は見えにくく、または見えない流れだと思う。自分自身も無意識この流れを創っているかもしれない。

写真は、自然のもつ力と人間の行動が創り出している「流れ」を表現し、自然の力により大きく変化し、破壊されていく景色と、この土地固有の硯を数百年と引き継がれてきた最後の硯師の音、そして里山で暮らす人々の声を意識して制作した。

 

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