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   香川県・荘内半島。私が初めてこの地を訪れたのは2003年の夏でした。当時、各地の灯台を目的地に旅をしていた私は、荘内半島 にある仁老浜へたどりつきました。荘内半島は、日本童話 で有名な「浦島太郎」ゆかりの地と伝えられ、この仁老浜では太郎が老人になったあと、余生をおくった場所と言われています。荘内半島の灯台へ行くには仁老浜から続く道があり、そこから約40分ほど山道を歩くとたどり着く場所にあります。夏の炎天下の中、灯台から疲れ果てて帰ってきた私を、仁老浜に住む一人の男性が家に招き、昼食をご馳走してくれました。居間には彼の家族が集まっていて、そこには生まれたばかりのお孫さんもいました。私はお礼として家族写真を撮り、旅が終わってから写真と御礼の手紙を送りました。それをきっかけに、私たちの文通が始まりました。彼からの手紙には、子供たちの成長、畑や海の様子をはじめ、 朝早く漁に出る船、四季折々の景色や花、瀬戸内海に沈む夕日といった穏やかな日常が綴られ、手紙が届く度に荘内半島の景色を想像し、そこから流れ出る静かな時間を楽しみました。年に数回の手紙のやり取りによって、互いをゆっくりと理解しあい、いつの間にか家族のような温かさを感じるようになっていました。それから8年がたった2011年の夏、私は再び仁老浜へ向かいました。

URASHIMA 2011

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