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「静けさの先にあるもの」 Symbiosis 001
私が初めて冬山の景色に触れ、その美しさと聞こえてくる音に魅了された静寂の風景。
立ち並ぶ複雑な形の樹木と鳥たちのさえずり、凍りついていく川から逃げるように流れる水、木々の間を通り抜ける冷たい風と揺れる草木の音、艶をまとった柔らかな落ち葉のにおいと走り抜ける獣の足音、山肌に反響する銃声音に静まり返る生き物の気配、それらをかき消すように轟く滝の音と鏡のような水面の輝き、静かに蓄積される膨大なエネルギー、物寂しく佇む砂防堰堤から力を合わせた人々の歌声が聞こえる。一斉に芽吹く若葉の輝きと山村から聞こえる春の賑わい、崩れかけた廃道や廃墟、取り残された生活の痕跡からは祈り、恐怖、不安、悲しみ、安らぎの声が聞こえる。
静けさのさきから聞こえてくる一つひとつの音には、どこか懐かしく、静かな情景がある。
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